4月5日(金)第4284回      田中  秀征氏(福山大学客員教授 元経済企画庁長官)

平成はポスト冷戦への大きな課題を担って幕を開けましたが、我々はそれに応えられませんでした。何よりの課題は冷戦後の政治や経済に新しい展望を開くことだったのですが、残念ながら不首尾に終わりました。それはバブル崩壊後の後始末に手間取ったこと、そして小選挙区制の導入に力と時間をかけ過ぎたことが大きな理由です。そして「政治改革」に大変なエネルギーを要したにもかかわらず、政治の質がさらに劣化の一途を辿ってしまいました。いま平成を閉じるにあたり、次の時代へと持ち越された宿題にどう取り組むべきか考えてみます。

講師紹介

1940年長野市生まれ。東京大学文学部西洋史学科、北海道大学法学部卒業。83年衆議院議員当選。93年新党さきがけを結成、代表代行。細川政権で内閣総理大臣特別補佐。96年橋本内閣で経済企画庁長官。99年民権塾を開塾。著書に『落日の戦後体制』(ちくま文庫、2010)、『判断力と決断力』(ダイヤモンド社、2006)『日本リベラルと石橋湛山』(講談社、2004)、『梅の花咲く ―決断の人・高杉晋作』(講談社文庫、2002)『舵を切れ-質実国家への展望』(朝日文庫、2000)。