11月9日(金)第4266回 宮本 雄二氏(元駐中国特命全権大使)
中国は2012年から実力により現状を変更する強硬外交に傾いたが、16年からは軌道修正を図っている。中国人訪日観光客は急増し、中国社会の対日観に実質的な影響を与え始めた。米中は地政学的、イデオロギー的対立構造に入ったと米国が認識したことにより、米中の全面的対立関係は長期化する。これが日中関係の改善を促す。国際秩序が動揺する中で、中国の対日観、対日姿勢の変化は、日本に大きなチャンスを与えるとともに、大きな課題を提起し、重大な挑戦でもある。
講師紹介
1946年福岡県生まれ。69年外務省入省。78年国際連合日本政府代表部一等書記官、81年在中華人民共和国日本国大使館一等書記官、83年欧亜局ソヴィエト連邦課首席事務官、85年国際連合局軍縮課長、87年大臣官房外務大臣秘書官。89 年情報調査局企画課長、90年アジア局中国課長、91年英国国際戦略問題研究所(IISS)研究員、92年外務省研修所副所長、94年在アトランタ日本国総領事館総領事。97年在中華人民共和国日本国大使館特命全権公使、01年軍備管理・科学審議官(大使)、02年在ミャンマー連邦日本国大使館特命全権大使、04年特命全権大使(沖縄担当)、2006年在中華人民共和国日本国大使館特命全権大使。2010年退官。現在、宮本アジア研究所代表、日中友好会館副会長、日本日中関係学会会長。著書に『これから、中国とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『激変ミャンマーを読み解く』(東京書籍)、『習近平の中国』(新潮新書)、『強硬外交を反省する中国』(PHP新書)。