【編集後記】 ロシアのウクライナ侵攻後の岸田政権の外交は、もっぱら西側先進国との共同歩調に終始しているように思われます。軍事的圧力を強める中国を念頭に敵基地攻撃能力を含めた防衛力の強化によって中国に対する抑止力を高めることは東西冷戦が復活し、米国の軍事的優位に陰りが見られる現状を考えれば、一定の合理性があるのは確かです。しかし、海上警備の強化や防空体制の見直しなど、急がなければならない課題が山積する中で敵基地能力だけが勇ましく語られる現状には違和感がぬぐえません。しかも西側諸国との一体感が強調される一方で同じように中国の圧力に対峙している東南アジア諸国などアジア域内の国々との対話や連携がおろそかにされている感は否めません。ただ西側諸国に追随するのではなく、アジア域内で友好国の輪をしっかり作り上げていく必要があるでしょう。
次号は、藤原帰一氏「ロシアのウクライナ侵攻後の世界」、富坂聰氏「習近平三期目の中国の外交と日本」。古賀茂明「改憲なしで変わる国の形」を掲載予定です。