「失われた30年」とも称された平成時代が終わり、令和元年を迎えることになりました。改元によって現実は何が変わるものではありません。史上最長の景気拡大期を実現した第二次安倍政権ですが、この間の成長率は一貫して低水準であり、長期に及んだ超金融緩和にも関わらず、民間企業の投資意欲も個人消費も停滞が続いています。円安と株高がもたらした企業収益の改善と資産効果による消費喚起も長続きしませんでした。インフレ期待の醸成を狙った金融政策は目標にはるかに届かず、企業の新陳代謝を遅らせて経済の活性化と新たな発展を阻害する結果に陥っています。この斯に及んで突然浮上した「年金世代には2000万円の貯蓄が必要」との金融庁の報告書を巡る騒動は、政治家と官僚が、国民生活の向上のためにどのような政策がのぞましいのか、という彼らの本分とはかけ離れたところで暮らしていることを改めて印象づけるものでした。年金だけで余裕のある暮らしが出来るとは誰も思っていません。この財政状況の中で、そんな高福祉が実現出来るものではないことは明らかだからです。いまさら上から目線で自助努力をしましょうなどという暇があるなら、ほかにすることがいくらでもあるでしょう。本日は小峰先生に平成経済を振り替えりながら令和経済の課題を分析していただきます。
*中部経済倶楽部 6月は25日(火)が河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト(会場:東京第一ホテル錦)です。ご都合のつく方はご参加下さい。
*映画鑑賞会 本日はジョン・クロムウエル監督、ベティ・デイヴィス主演の「痴人の愛」です。上映時間82分。午後2時40分頃開始します。