天皇陛下から生前退位の意向が示されてから、かなりの時間が経過しました。政府が設置した有識者ヒヤリングが開始され、その結果が公表されていますが、対象者の人選や話された内容には首をかしげざるを得ません。戦後の天皇は神ではなく人間であることが宣言され、そのうえで象徴という役割を担うことになりましたが、職務であるなら、心身の状態が職務遂行困難になった段階で、資格のある後継者に職務を譲り渡す制度が欠かせないでしょう。その規定が存在しない状態を放置してきた政府にこそ責任があります。ここ数年の天皇陛下は病気を抱えながら戦後処理につながる慰霊や大震災後の被災地の慰問に精力的に取り組んでこられました。そしてその行為が天皇という存在だからこそ意味があることを熟知されているからこそ、「退位」に言及されているのでしょう。そもそも皇室典範は大日本帝国時代に制定されたものです。明治以前の天皇制の伝統を真に引き継いでいるかどうかについても疑問の余地があります。いずれにしても国民の声を聴くのなら、これから象徴皇制を支えていく、より若い世代の意見にこそ耳を傾けるべきです。本日は生前退位問題について、毎日新聞の山田孝男氏に解説していただきます。
*忘年パーティー 恒例の忘年パーティーを12月2日(金)の定例講演会後に開催します。開場15時。開宴15時10分を予定しています。詳細は事務局まで。
*中部経済倶楽部 12月の定例講演会は8日(木)が吉川洋・東京大学名誉教授(同:名古屋国際ホテル)、12日(月)が吉崎達彦・双日総研チーフエコノミスト(同:東京第一ホテル錦)、講演後に冬季懇親パーティーを開催します。ご都合のつく方はご参加ください。
*映画鑑賞会 25日(金)はジャン・ギャバン主演、『望 郷』です。ご講演後の14:40開始予定です。上映時間は94分。